小さな企業でも労働安全衛生法により、常時雇用する従業員(パート・アルバイト含む一定条件)に年1回の「定期健康診断」を実施する義務があり、費用は会社負担、受診時間は原則業務扱いとなります。

健康診断結果は、数字が並んでいてわかりにくいかもしれませんが、健康の「通信簿」です。それぞれの項目の見方がわかれば、健康に対する意識も高くなると思います。

身体計測

BMI

BMIは、身長に見合った体重かどうかを判定する数値です。

 要注意基準範囲要注意
BMI18.4以下18.5~24.925.0以上

腹囲

メタボリックシンドロームを判定するための基本になるのが、腹囲の数値です。

 基準範囲異常
男性84.9以下85.0以上
女性89.9以下90.0以上

血圧

血圧値

血圧値によって心臓のポンプ機能が正常に働いているか、また高血圧・低血圧かを判断します。

 基準範囲要注意異常
収縮期血圧129以下130~159160以上
拡張期血圧84以下85~99100以上

視力

眼の病気がないのに裸眼視力が「0.7」未満の場合は近視・乱視が疑われます。

基準範囲要注意異常
1.0以上0.7~0.90.6以下

聴力

低音と高音の両者が聞こえるかを調べます。
1,000Hz の低い音では 30dB以下の音が聞こえれば正常です。
4,000Hz の高い音では 30dB 以下が正常です。
それ以上でないと聞こえない場合は、難聴や中耳炎などが疑われます。

 基準範囲要注意異常
1,000Hz30dB以下35dB40dB以上
4,000Hz30dB以下35dB40dB以上

血液検査

◆ 肝臓系検査

総たんぱく

血液中の総たんぱくの量を表します。
数値が低い場合は栄養障害、ネフローゼ症候群、がんなど、高い場合は多発性骨髄腫、慢性炎症、脱水などが疑われます。

異常要注意基準範囲要注意異常
6.1以下6.2~6.46.5~7.98.0~8.38.4以上

アルブミン

血液蛋白のうちで最も多く含まれるのがアルブミンです。アルブミンは肝臓で合成されます。
数値が低い場合は、肝臓障害、栄養不足、ネフローゼ症候群などが疑われます。

基準範囲要注意異常
3.9以上3.7~3.83.6以下

AST(GOT)と ALT(GPT)

AST(GOT)は、心臓、筋肉、肝臓に多く存在する酵素です。
ALT(GPT)は肝臓に多く存在する酵素です。
数値が高い場合は急性肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、肝臓がん、アルコール性肝炎などが疑われ、AST(GOT)のみが高い場合は心筋梗塞、筋肉疾患などが疑われます。

 基準範囲要注意異常
AST30以下31~5051以上
ALT30以下31~5051以上

γ-GTP

γ-GTP は、肝臓や胆道に異常があると血液中の数値が上昇します。
数値が高い場合は、アルコール性肝障害、慢性肝炎、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害が疑われます。

基準範囲要注意異常
50以下51~100101以上

ALP

ALP(アルカリホスファターゼ)は、肝臓、骨、腸、腎臓などさまざまな臓器に含まれている酵素です。
数値が高いと、胆道系の病気のほか、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がん、骨の病気などが疑われます。なお、検査の数時間前に脂肪の多い食事をとると、異常がなくても検査値が高くなることがあります。

基準範囲
100~350

◆ 脂質系検査

総コレステロール(TC)

血液中にはコレステロールという脂質が含まれています。
ホルモンや細胞膜を作る上で大切なものですが、増えすぎると動脈硬化が進み、心筋梗塞などにつながります。
数値が高いと、動脈硬化、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症、家族性高脂質異常症などが疑われます。低い場合は、栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症、肝硬変などが疑われます。

要注意基準範囲要注意異常
139以下140~199200~259260以上

HDL コレステロール

善玉コレステロールと呼ばれるものです。血液中の悪玉コレステロールを回収します。
少ないと、動脈硬化の危険性が高くなります。数値が低いと、脂質代謝異常、動脈硬化が疑われます。

異常要注意基準範囲
34以下35~3940以上

LDL コレステロール

悪玉コレステロールとよばれるものです。
LDL コレステロールが多すぎると血管壁に蓄積して動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞を起こす危険性が高まります。

要注意基準範囲要注意異常
59以下60~119120~179180以上

中性脂肪(TG)(トリグリセリド)

体内の中でもっとも多い脂肪で、糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。
数値が高いと動脈硬化を進行させます。低いと、低βリポたんぱく血症、低栄養などが疑われます。

要注意基準範囲要注意異常
29以下30~149150~499500以上

◆ 腎臓系検査

クレアチニン (Cr)

アミノ酸の一種であるクレアチンが代謝されたあとの老廃物です。
筋肉量が多いほどその量も多くなるため、基準値に男女差があります。
腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。数値が高いと、腎臓機能の低下が疑われます。

 基準範囲要注意異常
男性1.00以下1.011.291.30以上
女性0.70以下0.710.991.00以上

尿酸 (UA)

尿酸は、たんぱく質の一種であるプリン体という物質が代謝された後の残りかすのようなものです。この検査では尿酸の産生・排泄のバランスがとれているかどうかを調べます。高い数値の場合は、高尿酸血症といいます。
高い状態が続くと、結晶として関節に蓄積され、突然関節痛を起こします(痛風発作)。また、尿路結石も作られやすくなります。

要注意基準範囲要注意異常
2.0以下2.1~7.07.1~8.99.0以上

◆ 糖代謝系検査

血糖値 (FPG)

糖とは血液中のブドウ糖のことで、エネルギー源として全身に利用されます。
測定された数値により、ブドウ糖がエネルギー源として適切に利用されているかがわかります。数値が高い場合は、糖尿病、膵臓癌、ホルモン異常が疑われます。

基準範囲要注意異常
99以下100~125126以上

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)

HbA1cは、過去 1~2ヶ月の血糖の平均的な状態を反映するため、糖尿病のコントロールの状態がわかります。
また、空腹時血糖(FPG)が126mg/dLかつHbA1c(JDS)が6.1%以上(NGSPの場合は6.5%以上)なら糖尿病と判断します。

基準範囲要注意異常
5.5以下5.6~6.46.5以上

◆ 血球系検査

赤血球(RBC)

赤血球は肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る役目を担っています。
赤血球の数が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血が疑われます。

[男性 赤血球]

異常要注意基準範囲要注意異常
359以下360~399400~539540~599600以上

[女性 赤血球]

異常要注意基準範囲要注意異常
329以下330~359360~489490~549550以上

血色素(Hb)(ヘモグロビン)

血色素とは赤血球に含まれるヘムたんぱく質で、酸素の運搬役を果たします。減少している場合、鉄欠乏症貧血などが疑われます。

[男性 血色素]

異常要注意基準範囲要注意異常
12.0以下12.1~13.013.1~16.316.4~18.018.1以上

[女性 血色素]

異常要注意基準範囲要注意異常
11.0以下11.1~12.012.1~14.514.6~16.016.1以上

ヘマトクリット(Ht)

血液全体に占める赤血球の割合をヘマトクリットといいます。
数値が低ければ鉄欠乏性貧血などが疑われ、高ければ多血症、脱水などが疑われます。

[男性 ヘマトクリット]

異常要注意基準範囲要注意異常
35.3以下35.4~38.438.5~48.949.0~50.951.0以上

[女性 ヘマトクリット]

異常要注意基準範囲要注意異常
32.3以下32.4~35.435.5~43.944.0~47.948.0以上

MCV・MCH・MCHC

MCVは赤血球の体積を表します。
MCHは赤血球に含まれる血色素量を表します。
MCHCは赤血球体積に対する血色素量の割合を示します。
MCVの数値が高いと、ビタミン B12欠乏性貧血、葉酸欠乏性貧血、過剰飲酒が疑われます。低いと、鉄欠乏性貧血、慢性炎症にともなう貧血が疑われます。

白血球(WBC)

白血球は細菌などから体を守る働きをしています。数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりません。
たばこを吸っている人は高値となります。少ない場合は、ウィルス感染症、薬物アレルギー、再生不良性貧血などが疑われます。

異常基準範囲要注意異常
3.0以下3.1~8.48.5~9.910.0以上

血小板数(PLT)

血小板は、出血したとき、その部分に粘着して出血を止める役割を果たしています。
数値が高い場合は血小板血症、鉄欠乏性貧血などが疑われ、低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下、特発性血小板減少性紫斑病などの体の組織での亢進、肝硬変などの脾臓でのプーリングが考えられます。

異常要注意基準範囲要注意異常
9.9以下10.0~14.414.5~32.933.0~39.940.0以上

尿検査

異常が認められれば、糖尿病が疑われます。

基準値要注意異常
陰性 (-)(+) (±)(2+以上)

蛋白

腎臓の傷害により尿蛋白がふえます。腎炎、糖尿病性腎症などが疑われます。

基準値要注意異常
陰性 (-)(+) (±)(2+以上)

潜血

異常が認められれば、腎臓や尿管、膀胱などの病気が疑われます。
ただし、疲労などによって一時的に尿潜血が出ていることも考えられるので、診断を確定させるためには複数回の検査が必要です。

基準値要注意異常
陰性 (-)(+) (±)(2+以上)

便

便潜血

便に血が混ざっています。陽性(+)の場合は、消化管の出血性の病気、大腸ポリープ、大腸がん、痔などが疑われます。

乳腺

マンモグラフィーでは、カテゴリーの1~5に分類されます。
多くの場合、カテゴリー3では経過観察か精密検査、4または5では精密検査が必要となります。

カテ1異常なし
カテ2石灰化した繊維腺腫、乳腺拡張症などによる多発石灰化、脂肪種、乳房内リンパ節、豊胸手術による影響など、明らかに良性と診断できる所見です。
カテ3良性の可能性が高いが、悪性の可能性も否定できない。超音波検査などの追加検査が必要です。
カテ4悪性の疑いがあります。悪性の高い病変で、他の検査が必要になります。
カテ5ほぼ乳がんと考えてよい病変があります。さらなる検査が必要です。

前立腺(PSA検査)

高値である場合、前立腺肥大、前立腺癌など前立腺疾患が疑われます。

基準値異常
4.0以下4.1以上