「食事」は「薬」である
食事は、生命を維持するためだけではなく、健康を維持・増進させるものでなければなりません。健やかに生きるためには、正しい食生活をして心身ともに健全であることが基本です。
中国では古くから「病気の予防」「治療」「滋養強壮」「老化防止」などのために、天然の薬物を食べ物と組み合わせて、おいしく食べる調理法「薬膳」があります。
中医学の理論では、薬や食べ物にはそれぞれ「性質」「味」「効能」があり、これらをバランスよく配合することが、薬の処方や薬膳の基本となることを説いています。
自然界では、薬と食べ物の境界が混然としていて判別のつかないものが多くありますが、「薬膳」はこれらを目的に合わせて上手に組み合わせ、「栄養」「効能」「色」「香」「味」「形」などを揃えていきます。
食生活を改善すれば「薬」はいらない
日常の食事は医療の根本であり、「病気を治す薬」と「健康を維持・増進する食事」とは、本来根本は一緒であり病気を予防する最善の策です。体によいとされる食材を日常的に食べて健康を保てば、特に薬など必要としないでしょう。
日常の食生活を見直すことがとても大切と考え、実現させたものが「薬膳」です。漢方薬には、さまざまな生薬が使われていますが、「薬膳料理」はこれら生薬の性質や薬効を利用して健康増進や病気の予防や治療の改善を図るための料理で、誰でも簡単に家庭でつくることが出来ます。
「薬」には化学的に合成された「医薬品」と、天然の植物や動物から作られる「生薬」とが使われています。薬になる植物は、その全草をとって乾燥したり加工し薬用にするものもありますが、殆どは薬効の最も多い成分が含まれる部分だけをとって作られます。
植物により、葉だけのもの、花だけのもの、種子だけを使うものがありますが、草、根、木、皮、果実など様々です。このように草根木皮から作られた薬物を「生薬」といい、中国産(漢薬)と日本産(和薬)を合わせて「和漢薬」とよんでいます。
薬膳に欠かせないルール「五味」と「五気」
五味
漢方では、陰陽五行説に基づいて、すべての動植物を、酸・苦・甘・辛・鹹の五つの味に分類しています。そして、「五味」は「五臓」と深く関わりあっています。
いずれの「五味」も過食すると、その機能を損ないます。食物の「五味」を知ることで健康に役立てることが出来るでしょう。
| 酸 | 収斂作用があり、肝、胆の機能を補う |
| 苦 | 固める作用があり、心、小腸の機能を補う |
| 甘 | 緩める作用があり、脾、胃の機能を補う |
| 辛 | 発散作用があり、肺、大腸の機能を補う |
| 鹹 | 軟化作用があり、腎、膀胱の機能を補う(鹹は塩辛いの意) |
五気
「五味」と並んで大切なのが、熱・温・平・涼・寒の「五気」で、「五気」とは動植物が本来、自然に備えている性質や作用のことです。
ただし、これらの性質は、熱を加えることで涼寒性が平性に変化するなど、調理によって変わります。体が冷えている場合には熱温の食物を、熱がこもっているときは涼寒の食物を積極的にとればよいでしょう。
| 熱 | 体を温め、興奮作用がある。冷え症によい |
| 温 | 熱より弱いが体を温める。やはり冷え症によい |
| 平 | 温熱涼寒のいずれにも属さず、いずれにも偏らない |
| 涼 | 寒より弱いが体を冷やし、鎮静・消炎作用があり、のぼせや高血圧症によい |
| 寒 | 体を冷やし、鎮静・消炎作用があり、高血圧症によい |
これらの「五味」「五気」の性質を理解した上で、バランスよく組み合わせ調理をすれば、病気を予防し、健康増進に役立つと思います。
